コロナ禍の中で

第2回

2021-08-19

 

新型コロナウィルスと小学校生活
​高知市立小学校教諭 宮地亜紀子

 

現在小学 4 年生を担任しています。新型コロナウ イルスにより、学校を取り巻く教育現場にいろいろな 影響が出ているように感じます。

2月 27 日(木)、安倍首相の突然のテレビ報道で、 全国の学校が休校することになりました。教育委員会 も寝耳に水だったようです。学年末でもあり、子ども たちより教員の混乱が大きかったと思います。

​経過

3月6日(金)から休校になりました。5日間で、まだ終わっていない学習の授業やテストを可能な限り 行いました。子どもたちには非常に無理があったと思います。休校中に学習するためのプリント集(宿題) を配布し、各家庭へ答え合わせをお願いしました。仕 事の都合で保護者が不在になり、1 人で過ごすことのできない子どもたち(主に低学年)を対象とした「居場所」(学校の預かり)を設け、学校で自習(主に宿題) をしたり、遊んだりする児童も多くいました。「居場所」 へは、お弁当を持参で参加してもらいました。全児童 が揃っていないため、授業を進めることはしていませ ん。学年末の成績は、学校が日を設定し、保護者に取りに来てもらいました。休校前に、不要な外出はしない、マスク着用、友だちとは密にならないなどの話もしました。卒業式は6年生の児童、保護者、教員のみで行いました。休校に引き続き、春休みに入りました。

春休みが終わり、4月7日(火)は始業式でした。 午後行われた入学式は、新入生と保護者、教員のみで行いました。新学期になりクラス替えもあり、担任も子どもの顔と名前も分からないまま、13 日(月)より、再度休校に入りました。11日(金)には、たくさんの宿題を配りました。新学期が始まってすぐだったため、これからどうなるのかと不安も大きかったです。前回同様、希望者対象に「居場所」が始まりました。今回は給食も始まりました。

5月7日(木)に、高学年と低学年に分かれての分散登校日を設けました。休校の延長が決まったので、 宿題や手紙などを渡しました。この日に登校をしな かった児童には、後日、保護者に取りに来てもらいました。5月11日(月)から15日(金)までは希望者に午前中補習を行い、「居場所」の子どもと一緒に宿題などをして過ごしました。5月18日(月)から22日(金)は、「居場所」はなくなり、希望者参加の 補習が、午後まで行われました。学校再開に向けて子どもたちが生活リズムを立て直し、気持ちの準備をする期間としました。補習には半数以上の多くの児童が 参加しましたが、休校中なので授業を進めることはできませんでした。宿題をする中で、つまずきが見られ た子どもには、個別指導も行いました。

5月 25 日(月)から7月 31 日(金)まで1学期 の授業、8月1日(土)に1学期末懇談会を行い、夏 休みに入りました。3週間と短い夏休みでした。例年 なら、家族で外出したり、イベントに参加したり、自 由研究や工作に励んだりするのですが、今年は難しか ったようです。

 

8 月24日(月)から2学期が始まり、現在に至っています。毎年5月に行う運動会が10月に変更になり(内容も縮小して実施)、9月実施の修学旅行も、行き先を広島や大阪から四国内に変更する予定です。

​感想

​1) 学校生活:換気をしながら冷房をつけ、隣の人との間隔をあけて机を配置し、距離を保ちながらのグループ活動も行いました。手洗い、マスク着用、ソーシャル・ディスタンスを繰り返し指導しています。マスク着用に関しては、熱中症との兼ね合いで、体育の授業や外遊びの時には外すようにし ています。友だちと遊ぶことが楽しい子どもたち にとっては、ソーシャル・ディスタンスは難しい です。

2) 給食:5〜6人の給食当番が準備をし、自分の給食は自分で取りに行きます。食事中のおしゃべり は禁止していますが、ついついおしゃべりをしてしまいます。

3)  基礎学力の定着:休校中の宿題を終わらせるためには、家庭の協力も必要でした。宿題を最後までやり終えている子どもと、やり終えていない子どもには、漢字や計算などの基礎学力に差が出ているように感じます。

4)  ゲーム:外に遊びに行けず、家に閉じこもり、ゲ ームをする子どもが増えていました。以前からゲ ームに夢中になっている子どもは、ますますのめり込んでいるように感じました。学校が始まってからのことはまだ分かりませんが、少なくとも休校中に、ゲームの時間が増えたことは間違いないと思います。

5)  不登校の児童:登校しにくい子どもの中には、2 学期になり、さらに登校が難しくなった子どももいるように思います。

6)  体力の低下:体育の授業や外遊びの後、下肢痛を訴える子どもが多くいました。休校中の運動不足が原因ではないかと思いました。

最近、高知市内の小学校でも感染児童について報道されています。学校内でも引き続き感染症予防に努めながら、どの子も安心して笑顔で登校できる楽しい学びの場を保障していきたいと思っています。

日本乳幼児精神保健学会 学会誌 Vol.13 2020